文教・子ども委員会視察最終日

10/23(水)~25(金) 文教・子ども委員会視察の最終日、3日目はICT教育に注力する淡路市(兵庫県)で北淡小学校へ。
淡路市は国が指定する過疎地域のひとつとなっており、20年間で22校あった小学校が12校(現在は10校)まで減少。地域活性化の施策として掲げる「教育の特色化・観光・企業誘致」の一環として、市内の小4~中3全員にタブレットが貸与されている。 市の教育委員会によると、導入にあたってはH24の初期にはまず意欲ある5名の教員にiPadを貸与、そこから導入を順次拡大した。H28に小中各一校に児童1人1台体制がスタートしH29に小学校で、H30に中学校でも生徒1人1台体制がスタート。H29年度までは少人数編成による年50回以上の研修により、困ったら隣の学校の先生に聞く、という体制を整えた。 これによりiPadのバラマキに終わらぬようにしたという。

現在は小4に進級する全ての児童に端末を貸与(新規購入)し、中3の卒業時に返還する。教育委員会による説明や実際の授業の視察(小6)での印象としては、動画の撮影や再生、各自のノートの同期化(?)が大きな特長だった。スライドによる説明の中では、体育で自分のフォームを確認したり、英語で録音した自分の音声を聞いてみたりしていた。 実際に視察した理科の授業では、児童の手元にある端末で資料を開き、端末上で課題を提出していた。私の時代であれば、先生はプリントを作ってコピーして、授業中に全員に配布して全員の回答が終わったら回収してフィードバック、という流れになると思うが、まず準備段階での印刷や帳合の時間が不要になる。また資料の配布や提出の時間もかなり短縮できるほか、教員としても児童の回答をすぐに見ることができる。 また児童も機器の扱いに習熟していた。ダイエー時代、優秀なパートタイマーのかたでもパソコンや端末が使えないばかりに一歩上の仕事を任せられなかったことがあった。公教育でこうしたリテラシーの能力を広く普及させるさせることは、国(や地域)の生産性にも大きく寄与すると思う。 今回はおそらくICTの導入に関して先進的な教員の授業であった。機器の利用に不慣れな教員がどのように活用し、教育委員会が彼らをどうフォローしているかはわからず終い。担当者の職員に訊いたところ、ベテランの教員や、先進的な機器に馴れない教員をどう巻き込むかは今なお課題だと聞いた。

また初期投資に関しては過疎債(※元利の7割を国が交付税で措置。目黒区では使えない手段。)を起債し、現在は一般財源でランニングコスト(児童・生徒約2,000人に対して年間5~7千万程度)を賄っているという。 他の委員による質問の回答にあった「教育のICT化なしでは やっていけない」という言葉も印象的だったが、もし目黒区で端末を導入する場合、初期投資の財源をどうするか、また淡路市同様にICT機器に対して積極的でない教員をどう巻き込むかは課題になると思われる。 そして本来の目的であった、特色ある教育による人口増加および企業の誘致には結び付いていない、ということも授業の視察の傍らでこっそり聞いた。高校の学区が神戸市と同一になり、優秀な子どもが外へ出ていくという話にも、人への投資の難しさを感じた。お金をかけて育てた子どもも、外へ出ていくなら必ずしも地域の発展には結び付かない。それでもその子どもたちに投資する意義を、少子高齢社会で一人の議員としてうまく説明できるだろうか。 目黒区ではまだ見えにくい少子高齢化と人口減少だが、H28の目黒区人口ビジョンによれば遅くとも6年後(5年刻み)には人口がピークアウトし、急速な高齢化が進む。 何が有効打になるのか、先進的な施策は貪欲に探していきたい。「文教・子ども委員」としてだけでなく、一人の「議員」としても刺激になった3日間。手配して頂いた区議会事務局のかたを筆頭に多くの関係者の皆さんに感謝しながら、引続き一歩一歩。